当科における造血幹細胞移植が累計で100件になりました

 1994年に始まった当科における造血幹細胞移植が、2011年7月現在の累計で100件を超えました。
 移植療法を開始した当時は、患者さん自身の造血幹細胞を用いる自家移植療法と、兄弟を中心とした血縁の提供者からの造血幹細胞を用いる血縁者間移植療法が行われてきましたが、2000年からは骨髄移植推進財団の認定科として骨髄バンクや臍帯血バンクからの非血縁者間移植療法もはじまりました。2003年に累計の移植件数が50件となり、それから8年を経て累計件数が100件になりました。

 100件の内訳は、自家移植が30件で同種移植が70件であり、同種移植のうち家族からの血縁者間移植と、骨髄バンクおよび臍帯血バンクからの非血縁者間移植が、いずれも35件となっています。移植療法がはじまった頃は、移植前処置に用いる抗がん剤による抗腫瘍効果を期待した自家移植療法が比較的多く行われてきましたが、最近は移植された免疫系の抗腫瘍効果に主眼を置いて移植前処置を軽減して行う同種移植が多く行われる傾向にあります。

 この間に造血幹細胞移植療法の対象となった患者さんは、一人で複数回の移植を受けている患者さんもあるので、総数で79名となっています。その疾患の内訳は、再生不良性貧血などの造血障害や免疫不全症といった非腫瘍性疾患が10名、白血病やリンパ腫などの造血器腫瘍が46名、神経芽腫をはじめとする固形腫瘍が23名となっています。

造血幹細胞移植療法は、化学療法などの通常の治療法では治癒が難しい状況にある患者さんを対象に行われる治療法ですが、これまでのところ約7割の患者さんが移植治療から5年を経て再発することなく元気に生活されています。

更なる治療成績の向上を目指して、これからもスタッフ一同力をあわせて診療にあたっていきます。

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