ライフサイエンス特進コースの学生が活躍しました 2014年

 10月31日から11月2日まで大阪で開催された第76回日本血液学会学術集会では、医学科5年生の鈴木隆和君が「Possible involvement of PI9 in the development of acute lymphoblastic leukemia」と題して口演発表しました。これは前年の第55回日本小児血液・がん学会学術集会でポスター発表した「小児急性リンパ性白血病の進展におけるPI9 遺伝子発現の意義」をさらに発展させた発表です。免疫細胞は体内のがん細胞の発症を監視し、細胞傷害因子を介してがん細胞を攻撃することで、がんの発症・進展を食い止めています。鈴木君は、細胞傷害因子を失活させる分子であるPI9が白血病細胞に発現されており、白血病細胞が免疫細胞の監視から逃れる機序にPI9が関与している可能性について研究成果を発表しました。


(左)鈴木君 (右)三上君

 11月28日から30日まで岡山市で開催された第56回日本小児血液・がん学会学術集会では、医学科4年生の三上学君が「GVL効果を仲介する細胞傷害因子TRAILは低酸素条件下で化学療法耐性の白血病幹細胞に対して細胞死を誘導する」をポスター発表しました。化学療法で再発した白血病が、同種造血幹移植による移植片対白血病(GVL)効果によって治癒に至ることが知られています。一方、骨髄内環境は著しい低酸素状態にあって、この低酸素環境が白血病細胞の化学療法耐性に寄与していることが明らかになってきています。三上君は、再発の温床となる白血病幹細胞が、低酸素環境で化学療法剤に耐性を示す一方で、GVL効果を担う細胞傷害因子の1つであるTRAILに対する感受性を低酸素環境でも維持していることを、白血病細胞株を用いたモデル実験で検証しました。
 鈴木君も三上君も会場からの質問に的確に対応し、学会では大いに刺激を受けた様子でした。

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