東日本大震災 医療支援活動報告
山梨大学医学部小児科 犬飼岳史

 全国医学部長病院長会議被災地医療支援委員会からの要請で、平成23年12月23日から25日に大学からの派遣として、いわき市立総合磐城共立病院における小児救急への支援活動に参加しました。
 いわき市立総合磐城共立病院は約50万人の医療圏で唯一の小児科入院施設ですが、7名だった小児科常勤医が、震災後は派遣元の東北大学からの補充が難しく5名体制となっています。甲府市医療圏の4病院に約20名の小児科医が常勤しているのと比べると、その過酷さがよくわかります。当然ながら常勤医だけでは小児救急対応が困難となり、小児科学会を通じて全国の小児科医が支援にあたってきましたが、10月からは全国医学部長病院長会議被災地医療支援委員会が窓口となって、今回の派遣となりました 。
 12月23日に前泊して、12月24日土曜日の午前8時半から翌朝までの24時間を担当しましたが、準夜帯までに受診した30名中8名が紹介状を持っての2次救急患者でした。幸い大部分の患者さんは帰宅可能でしたが、2名が入院しました。深夜帯は救急救命センターの医師が初期対応で、私に診療依頼があったのは未明に救急搬送された症例を含む2名でした。正味24時間という短い支援活動でしたが、スタッフのみなさんからは感謝の言葉をいただき、充実した時間を過ごすことができました。
 中心街は一見何でもないようでしたが、よくみると建物のあちこちに亀裂があり、街で耳にした地元の方々の会話は原発事故に関する話題がほとんどでした。そんななか、救急部で診療に奔走する研修医達の姿を大変に心強く思いました。診療の合間には救急部の医師からケーキのご相伴にあずかり、一生忘れられないクリスマス・イブになりました。

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