東日本大震災 医療支援活動報告
山梨厚生病院小児科 丹哲士

 日本小児科学会東日本大震災対策委員会のボランティア要請を受け、平成23年5月29日から6月5日までの8日間、 震災により特に壊滅的被害を受けたとされる岩手県大船渡市及び陸前高田市を包括した気仙医圏 (人口 約7万人、小児人口約8400人)の小児医療基盤の再構築支援を目的とした医療支援活動に参加しました。
 主な業務は岩手県立大船渡病院小児科の常勤医師(3人)と協力して一般外来、夜間の救急当番を行うこと、 及び東日本大震災直後に最大で約1250人が避難したと言われる岩手県陸前高田市の市立第1中学校の仮設避難所兼診療所における一般外来及び避難所内回診等でした。
 当地の状況は、急性疾患はもとより主治医を亡くした慢性疾患を有する児も多く、 その大部分が投薬歴等を紛失しておりこれまでの病状等が全くわからない場合も多くみられました。 また6月の時点でもインフルエンザの集団発生が認められたり、薬剤の供給不足等の問題も依然残っていました。 陸前高田市内は元来より小児医療過疎地で、震災後には小児科医は1人しかいない状況となり、 小児が毎日専門医の診察を受けることができる診療所は私が派遣された仮設診療所のみでした。
 通常の診察以外にも神経症・心身症(PTSD等)をスクリーニングすることも必要で、 疑い例は“東京都こころのケアチーム”が支援滞在しており、ここに連絡するシステムが構築されていましたが、 短期間では精神的治療が必要とされる児をピックアップすることは困難でした。
 被災地の小児医療基盤の再構築には今後も多くの継続的支援が必要であると思われました。

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