当科の金村らの論文
「Growth disturbance of frontal lobe in BCECTS with frontal dysfunction. Kanemura H, Aihara M.」が、
神経領域の国際的な専門雑誌である「Brain and Development 」の2009年11月号に掲載されました
(Brain and Development 31: 771-774, 2009)。
「中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(BCECTS)」は小児の代表的な特発性局在関連てんかんの
一つで、その疾患名が示すように一般に発作および発達面での予後は良好とされています。
しかし、発症時にBCECTSと考えられる症例の中にも、治療抵抗性を示し学業困難や行動異常を呈する
場合がまれながらあることが報告されるようになりました。
これらの治療抵抗症例では、BCECTSの活動期に注意欠如・多動性障害(ADHD)や学習障害などの
行動上あるいは神経心理学的障害を合併する症例が多く、前頭葉機能との関連が示唆されています。
そこで、上記のような経過を辿った症例に対し、3次元MRIを用いて前頭葉・前頭葉体積を測定し、
健常児群や良好な経過をとったBCECTS症例群と比較検討しました。
その結果、前頭前野体積は予後良好群と健常児群との間で相違が認められなかったのに対し、
治療抵抗症例では前頭前野体積の成長障害が認められました。
この知見から、治療抵抗を示す症例ではBCECTSの責任領域とされる中心・側頭部に加えて前頭部も
発作の焦点部位である可能性や、両側性に中心・側頭部が発作の焦点となることで二次的に前頭前野の
成長と機能が障害されて、行動異常などの発達障害を発症する可能性が示されました。
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