当科の金村らの論文
Serial changes of prefrontal lobe growth in the patients with benign childhood epilepsy with centrotemporal spikes presenting with cognitive impairments/behavioral problems. Kanemura H, Hata S, Aoyagi K, Sugita K, Aihara M.」が、 神経領域の国際的な専門雑誌である「Brain and Development」の2011年2月号に掲載されました (Brain and Development 33: 106-113, 2011)


中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(BCECTS)は代表的な特発性局在関連てんかんの一つで、一般に発作および発達の予後は良好とされています。 しかし、治療に抵抗性を示して学業困難や行動異常を呈する非定型例もまれながら存在し、その病態として前頭葉機能との関連が示唆されています。 そこで非定型的な経過をとったBCECTSの2症例に関して、3次元MRIを用いて前頭葉・前頭葉体積を測定し、 発作活動期間の違いによる前頭葉機能および前頭前野の成長推移を比較検討しました。 発作活動期間が短期であった症例では前頭葉機能の回復も速やかで、前頭前野の成長障害も発作消失後に健常児群のレベルにまで回復したのに対し、 発作活動期間が長期にわたった症例では、発作が改善した後も前頭葉機能の回復は遅く、前頭前野の成長障害も持続していました。 この知見から、非定型的な経過をとるBCECTSにおいては、発作消失に要する期間が行動異常を含めた長期の予後を決定する因子の1つである可能性が示されました。 したがって、積極的な治療で早期に発作および脳波異常をコントロールすることが、発達予後の改善に極めて重要であると考えられます。

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