当科の金村らの論文
「Kanemura H, Sano F, Sugita K, Aihara M. Effects of ethyl loflazepate on refractory epilepsy in children.」が、 小児神経の専門雑誌である「Journal of Child Neurology」の2011年10月号に掲載されました (Journal of Child Neurology 2011; 26(10): 1284-1289)


難治てんかんのコントロールおいて、ベンゾジアゼピン系薬剤は中心的な位置付けにあります。 しかし、気道分泌物の増加などによって呼吸状態の悪化を認めて薬剤を減量・中止せざるを得ない症例も少なくありません。 一方、ベンゾジアゼピン系化合物の一種であるロフラゼプ酸エチルは主に抗不安薬として使用されていますが、 比較的強い抗けいれん作用を有する一方で気道分泌物の増加をきたしにくいことが報告されています。 私たちは、従来のベンゾジアゼピン系薬剤の投与では呼吸状態の悪化が懸念された難治てんかんを認める重症心身障害児5名において、 ロフラゼプ酸エチルの有効性と安全性を既に報告しています。 この知見を発展させて本論文では、より多くの難治てんかん患児を対象にロフラゼプ酸エチルの有効性・安全性を検討しました。 対象症例は生後9ヵ月~17歳の全般てんかん4名と局在関連てんかん17名です。 ロフラゼプ酸エチルの投与前に使用されていた抗けいれん剤は、平均で5.7剤にものぼる難治性症例です。 ロフラゼプ酸エチルの投与によって6名(28.6%)で発作が消失し、11名(52.4%)で発作頻度が投与前の50%以下に減少しました。 50%以上の発作頻度の減少は、局在関連てんかんの症例(17名中15名)とWest症候群の症例(2名中2名)で多く認められました。 なお、副作用が認められたのは1名のみと安全性も確認されました。 この結果から、ロフラゼプ酸エチルは難治てんかん、とくに局在関連てんかんおよびWest症候群で試みられるべき薬剤であることがわかりました。

前のページへ戻る


研究業績へ戻る