当科の金村らの論文
「Kanemura H, Sano F, Sugita K, Aihara M. Ictal SPECT of thalamocortical coupling in a patient with frontal absence.」が、
小児神経の専門誌である「Neuropediatrics」の2011年10月号に掲載されました
(Neuropediatrics 2011; 42(5): 200-203)。
欠神発作は、通常は全般てんかんである小児欠神てんかんで認められますが、
局在関連てんかんである前頭葉てんかんでも認められることがあり、
これを前頭葉欠神(frontal absence)と呼びます。
しかし、臨床症状や脳波所見から両者を鑑別することは困難です。
一方、欠神発作時に認められる脳波所見としては全般性3c/s棘徐波複合が知られていますが、
その生成機序に視床が関与していることが推測されています。
最近開発された脳血流SPECT検査では、てんかんの発作時には焦点部位の血流が増加し発作間欠期に減少することから、
てんかん焦点の検索として有用です。
この論文では、前頭葉欠神が疑われる患児に対して、脳波検査と脳血流SPECTを同時に行い、
その病態生理を検討しました。その結果、脳波で全般性3c/s棘徐波複合が出現した発作時に、
脳血流SPECTにおいて片側の視床で血流が増加し、さらに興味深いことに同側の前頭部でも血流の増加が認められました。
この所見から、前頭葉欠神は前頭部に皮質起源を有し、視床皮質間ネットワークを介して欠神発作を呈していることが推測されます。
前のページへ戻る
研究業績へ戻る
|