当科の杉山らの論文
「Sugiyama T, Kamijo A, Aoyama K, Kuroda Y, Masuyama K, Sugita K. Rapid development of severe respiratory distress due to a vallecular cyst in a 3-day-old infant.」が、 日本小児科学会の国際誌である「Pediatric International」の2012年4月号に掲載されました (Pediatr Int. 2012 Apr;54(2):297-299)


当科では、呼吸器疾患の年少児に対しても積極的にファイバースコープ検査を実施していますが、 本論文は先天性喉頭蓋谷囊胞についての症例報告です。本疾患は10万出生に1.82人という珍しい病気で、 世界で15例ほどの報告しかありません。 囊胞自体は良性ですが、 気道の入り口にある喉頭蓋という組織に発生するため重度の呼吸不全をきたして診断が遅れると死亡することもある病気です。 本報告では生後3日目の新生児が急激に呼吸困難に陥り、当科に救急搬送されました。 その時点で緊急的に喉頭ファイバースコープ検査を行って確定診断し、 ただちに手術を行い生後5週間で退院しました。 患者さんは1歳6ヶ月となった時点でも成長・発達ともに順調で後遺症なく元気に過ごされています。 先天性喉頭蓋谷囊胞には特徴的な症状がなく、「ゼイゼイする」「哺乳量が低下する」という比較的ありふれた症状で発症します。 通常の診察や胸部レントゲン検査では見過ごされるために、診断が遅れて重篤な呼吸困難に陥る症例も多いなかで、 今回の症例は紹介元の医師の適切な判断と、早期の喉頭ファイバースコープ検査の実施によって適切に診断し治療することができました。

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