当科の中根らの論文
「Dysspondyloenchondromatosis: Another COL2A1-Related Skeletal Dysplasia?
Takaya Nakane, Tomoko Tando, Kakuro Aoyagi, Kazuo Hatakeyama, Gen Nishimura, Ing P. J. Coucke, Geert Mortier, Kanji Sugita」が、
先天奇形症候群の国際専門誌である「Molecular Syndromology」の2011年12月号に掲載されました
(Mol Syndromol 2011; 2(1):21-26)。
先天奇形症候群の分類は、従来、臨床症状によって決められていました。
最近の分子遺伝学の発展によって、いままでは全く別の疾患と認識されていた疾患が同じ遺伝子の異常によるものであったり、
逆に同一疾患と認識されていた病態が実際にはいろいろな遺伝子の異常の複合体であることがわかってきています。
これをLumping and splitting(かたまりにすることと、わけること)といい、
先天奇形症候群の多くの分野で現在進行形のかたちで続いています。
今回の論文も、骨系統疾患における疾患分類を書き換えていくことにつながる知見の1つです。
Dysspondyloenchondromatosis (DSC) はまれな骨形成異常症で、現在は脊椎・骨幹端異形成症に分類されています。
これまでにDSCの患者は12人しか報告されておらず、全て家族内発症のない散発例で、その原因遺伝子はわかっていませんでした。
DSCの特徴は、椎骨の不同症と骨幹端から骨端に生じる内軟骨腫様病変です。
また、DSCの患者では比較的早い時期に後側弯症や手足の長さの左右差が現れます。
これらの症状のいくつかは、脊椎・骨幹端異形成症Strudwick型と似ています。
脊椎・骨幹端異形成症Strudwick型の原因としては、コラーゲン2遺伝子の異常が既に分かっているので、
私たちが経験した症例でこの遺伝子について調べたところ、
いままで報告がないミスセンス変異 (p.Gly753Asp;753番目のグリシンがアスパラギン酸に置換している異常) が見つかりました。
コラーゲン2遺伝子は、致命的な表現型をしめす疾患から比較的軽症な疾患まで、多くの疾患の原因遺伝子であることが報告されており、
今回の報告はDSCもこの一群に属するものであることを明らかにしたといえます。
前のページへ戻る
研究業績へ戻る
|