当科の金村らの論文
Valproate sodium enhances body weight gain in patients with childhood epilepsy: a pathogenic mechanisms and open-label clinical trial of behavior therapy.  Kanemura H, Sano F, Maeda Y, Sugita K, Aihara M.」が、 てんかんの専門誌である「Seizure」の2012年9月号に掲載されました (Seizure. 21: 496-500, 2012)


抗てんかん薬は年単位の継続的な服用が必要なため、副作用対策も臨床的には重要です。代表的な抗てんかん薬であるバルプロ酸の副作用の一つとして体重増加があります。しかし、著明な体重増加をきたして服用を中止せざるを得ない症例があるにもかかわらず、その機序と対策については十分に明らかにされていません。そこで本研究では、バルプロ酸を服用中のてんかん症例の血清生化学的な検討を行いました。その結果、バルプロ酸の服用において約半数で体重の増加を認めて、体重が増加した症例では血清インスリン値とインスリン/血糖比の有意な上昇が観察されました。さらに、体重増加をきたした症例の全例で食欲の亢進を認めました。また本研究では、体重増加をきたした症例に対して、「ゲームは1日1時間以内にする」といった行動療法を行ったところ、体重増加の増悪を阻止することができました。したがって、バルプロ酸の投与中における体重増加においては、積極的に行動療法を取り入れることによって、その内服を継続できる可能性が明らかになりました。

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