当科の中根らの論文
6p subtelomere deletion with congenital glaucoma, severe mental retardation, and growth impairment.  Nakane T, Nakamura K, Hata S, Kamiya Y, Sato H, Kubota T, Sugita K」が、 日本小児科学会の国際誌である「Pediatrics International」の2013年6月号に掲載されました (Pediatr Int 55:376-378, 2013)


染色体上にある遺伝子は体の設計図です。ヒトは約23,000の遺伝子を持っているといわれており、染色体の数や長さに異常があると、さまざまな病気を発症します。こうした染色体異常を詳細に調べることで、病気の発症に関連している遺伝子を同定することができるようになります。今回、高度の知的な遅れ、難聴、緑内障、心臓異常を合併した患者を経験しました。文献的に調べたところ、6番染色体短腕欠失症候群に類似していたため、従来からあるギムザ染色による染色体解析(G-Banding法)を行いましたが、染色体異常を確認することができませんでした。そこで、G-Banding法に比較して、より微細な領域の異常を検出することが可能な、FISH法とCGHアレイ法という最近開発された手法を用いて再度検査をおこなったところ、6番染色体短腕の端にあるきわめて小さい(約210万塩基対)欠失部位を同定し、微小6番短腕欠失症候群と確定診断しました。微小6番短腕欠失症候群の報告は世界ではまだ10数例しかなく、とくに今回のように高度の知的な遅れを伴った症例の報告は初めてです。このような症例ごとの症状の違いと染色体上の詳細な欠失領域を比較することによって、微小6番短腕欠失症候群の発症と臨床像に関与している遺伝子の同定が可能となり、より詳細な病態の解明と治療法の開発へと発展することが期待されます。

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