当科の金村らの論文
Repeated seizures induce prefrontal growth disturbance in frontal lobe epilepsy.  Kanemura H, Sano F, Tando T, Sugita K, Aihara M.」が日本小児神経学会の英文誌である「Brain & Development」の2012年3月号に掲載されました (Brain & Development 34: 175-180, 2012)


脳の前頭前野は認知や行動発達において主要な役割をはたしており、小児期を通じて成長を続けるため、生後の様々な要因によってその成長が妨げられる危険性があります。近年、てんかん発作の反復によって二次的に脳の器質的および形態的な変化を生ずることが報告されるようになりました。そこで本研究では、前頭葉てんかん症例において、3次元MRI(核磁気共鳴画像法)検査によって前頭葉の容積を評価し、発作反復が前頭前野の成長に及ぼす影響について検討しました。その結果、発作が短期間でコントロールできた症例においては、発作の反復によって障害されていた前頭前野の成長が、発作の消失後に健常児と同レベルにまで回復していました。一方、発作が長期間反復した症例においては、発作の消失後も前頭前野の成長障害は回復せず、実際に前頭葉機能の回復も遅延しました。したがって、前頭葉てんかんにおいても発作の反復が前頭前野に回復困難な成長障害をきたす可能性が示唆され、積極的な治療で早期に発作をコントロールすることが、前頭前野の発達に極めて重要であると考えられます。

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