当科の金村らの論文
Thalamic hypoperfusion on SPECT in epilepsy with bilateral synchronous discharge.  Kanemura H, Sano F, Shimoyama H, Sugita K, Aihara M」が小児てんかん学の専門誌である「Journal of Pediatric Epilepsy」の創刊号に掲載されました (Journal of Pediatric Epilepsy 1: 37-42, 2012)


「徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん」(CSWS:Epilepsy with continuous spikes and waves during slow sleep)は難治で、認知面や行動面で退行も認められるてんかん性脳症の1つです。脳波検査において、二次的に大脳皮質の両側に同調して発作波が出現する二次性両側同期発射(BSD:bilateral synchronous spike-wave discharge)が特徴的に認められることから、視床の関与が想定されています。そこで本研究では、3症例において脳波検査と同時にSPECT(単一光子放射線断層撮影)検査を行ない、視床の関与の可能性について脳血流の観点から検討しました。その結果、脳波検査でBSDが認められるのと一致して、全例で片側の視床において血流の低下が観察されるとともに、脳波上の焦点部位と一致した大脳皮質領域においても血流低下が認められました。こうした所見は、視床が大脳皮質に影響を及ぼすことで発作をきたしている可能性を強く示唆します。したがって、難治性の本疾患の治療において、視床に作用する抗てんかん薬の有効性が期待されます。

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