大学院・小児科学講座
原則として2年間の一般小児科医としての後期研修が終了した後に進学している。小児科医としてさらに研修を積むとともに、臨床的に高い専門性を身につけ、臨床的視点から研究を行うのに必要な思考力を養成することを目標にしている。安心して学究生活に集中できるように生活・環境面でも条件を整えている。
[スケジュール]
1-2年目;担当医として各専門領域の臨床手技と知識を身につける。抄読会等を通じて英文論文の読解能力や、症例検討会や学会での症例発表を通じて症例提示能力の習得をはかる。臨床経験のなかで臨床・基礎研究のテーマを固め研究を開始する。
3年目;小児科専門医試験を受験して資格を取得するとともに、臨床経験をさらに深めながら研究テーマに沿った解析を進めていく。
4年目;研究を最終的に仕上げて論文を作成する。研究内容を国外学会で英語発表する。
[各研究班の主な研究テーマと指導教官]
研究は講座内の指導教官のもとで行うが、学内外との共同研究も積極的に行っている。
血液・腫瘍(杉田完爾、犬飼岳史、合井久美子);白血病細胞の細胞周期とアポトーシス制御に関する細胞シグナル伝達の分析と新規治療薬の解析。
内分泌(大山建司-看護学科、小林基章);小児糖尿病のインスリン抵抗性と低身長に対する成長ホルモン補充の臨床的分析。精子形成に必須の遺伝子群に関する解析。
神経(相原正男-看護学科、金村英秋);小児の高次脳機能(特に前頭葉)の解析。てんかん、発達障害の認知・情動的側面における病態解析。
腎臓(東田耕輔);糸球体腎炎の進展と治癒の機序の解析と治療法の開発。ネフローゼ症候群における浮腫の病態生理の解析。
遺伝(中根貴弥);先天奇形症候群の遺伝子解析、とくに機能・表現型との関連について。知的障害を伴う先天奇形症候群の微細欠失・重複の解析。
心臓(星合美奈子);心筋細胞の分子生理学的解析。先天性心疾患や血管病変に対するカテーテル治療の開発。川崎病の病態生理における液性因子の解析。
[最近の主な業績] 講座内で行われたもので、留学中の業績は除く(impact factor; JCR2008年度版)
・Aberrant induction of LMO2 by the E2A-HLF chimeric transcription factor and its implication in leukemogenesis of B-precursor ALL with t(17;19). Blood. in press (IF;10.4)
・A specific linkage between the incidence of TP53 mutations and type of chromosomal translocations in B-precursor acute lymphoblastic leukemia cell lines. Am J Hematol. in press (IF;2.1)
・Specific induction of CD33 expression by E2A-HLF. Leukemia. 2010;24:865-9 (IF;8.6)
・Expression of stanniocalcin-1 in gastrointestinal tracts of neonatal and mature rats. Biochem Biophys Res Com. 2010;389:478-83 (IF;2.6)
・Nocturnal blood glucose and IGFBP-1 changes in type 1 diabetes. Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2010;118:195-9 (IF;1.9)
・Saccade eye movements as a quantitative measure of frontostriatal network in children with ADHD. Brain Dev. 2010;32:347-55 (IF;1.4)
・Serial changes of prefrontal lobe growth in the patients with benign childhood epilepsy with centrotemporal spikes presenting with cognitive impairments/behavioral problems. Brain Dev. in press (IF;1.4)
・Na+/H+ exchanger inhibitor cariporide attenuates the mitochondrial Ca2+ overload and PTP opening. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2007;293:3517-23 (IF;3.6)
・Stanniocalcin 1 prevents cytosolic Ca2+ overload and cell hypercontracture in cardiomyocytes. Circ J. 2007;71:796-801 (IF;2.4)
|