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■1.山梨大学医学部小児科、研修体験記■

 


―おかげさまで小児血液学会賞を受賞できました!―

平成11年度入局
古市嘉行

  富士河口湖町にある山梨赤十字病院に勤務しながら、週1回の研究日に白血病細胞が化学療法に耐性を示す機序の解析を長きに渡り続けてきました。投げ出しそうになることもありましたが、実験結果に共に悩み、喜んで下さった杉田完爾教授に励まされ、実験助手の加賀美恵子さんには惜しみない協力をして頂き、栄えある第1回日本小児血液学会賞を受賞することができました。
 受賞対象となりました論文は、『Fms-like Tyrosine Kinase 3 Ligand Stimulation Induces MLL-Rearranged Leukemia Cells into Quiescence Resistant to Antileukemic Agents(Cancer Research 2007;67:9852-61)』です。
 小児の急性リンパ性白血病では約8割の患者さんで治癒が得られるようになりましたが、乳児期に発症する急性リンパ性白血病の多くを占めるMLL再構成白血病は、化学療法後の早期に再発する症例が多く、依然として予後不良です。本研究はその理由の1つを明らかにしたものです。カギは、Fms-like Tyrosine Kinase 3 Ligand (FL)という因子にありました。化学療法剤は増殖期にある細胞に効果を示しますが、骨髄の間質系細胞に発現されるFLを介して白血病細胞が休眠期に入ることで化学療法に耐性を示すことを、世界に先駆けて明らかにしたものです。興味のある方は、是非私に声をかけてください。熱く語らせていただきます。
 さて、厚かましいとは思いますが、受賞時に頂きました賞状を披露させていただきます。この賞状、額に納められてはいますが、見ての通り我が家のリビングの床に飾られるともなく置かれています。今度、研究班のみなさんより頂きましたお祝いで、すき焼きパーティーをする予定ですので、その際奥さんと4人の子供に飾る場所を打診してみようと考えている今日この頃です。
 山梨赤十字病院小児科に勤務して8年になろうとしています。気が付けば外来患者さんの多くは見知った顔となり、スーパーに行けばあちこちで挨拶を交わします。我が家の子供たちも地域に溶け込み、その縁で町の人たちと飲みに行くようにもなりました。研究日に大学に行き、実験室のクリーンベンチに座れば、俗世を離れた自分の世界が開けます。大学・病院・家庭、それぞれの環境で心地よい人間関係の中をうまく泳がせてもらいながら、臨床、研究、家庭のバランスが程よくとれた日々を過ごさせてもらっています。

(平成21年3月・入局11年目・記)

 

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