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■1.山梨大学医学部小児科、研修体験記■

 


大学病院と地域の基幹病院の両方を経験して

平成元年度入局
てづかこどもクリニック
手塚 徹

  4期生として本学を卒業し、元々小児科を希望していて迷うことなく入局してから約20年が経ちます。今は開業医として幅広い知識や対応が要求されますが、開業までに経験してきたことがとても役に立っています。
 入局後は大学病院での1年余りの小児科研修の後に、都立清瀬小児病院の新生児科に派遣されて、新生児・未熟児だけでなく血液疾患の患者さんも担当しました。また中澤前教授の計らいで、現社会保険さいたま病院の研究室にも通って白血病細胞学の基礎を学びました。その後は、山梨赤十字病院で一般小児科を経験し、常勤医として清瀬小児病院の新生児科に戻ると、新生児および血液疾患を担当して骨髄移植にも関わりました。また大学に通いながら、現教授の杉田先生の指導で新生児の免疫能に関する研究を行なって、成果をPediatric Research誌に英文論文として発表し学位も修得しました。大学に戻ると新生児部門のチーフとして産科や小児外科など他科の先生とも連携して治療を行ない、若い先生と白血病などの血液疾患の患者さんも担当して充実した時間を過ごしました。そして出身地に近い東京・埼玉で将来開業を考えていることを中澤先生に相談したところ、本学の初代小児科助教授であった辻先生が当時部長をされていた「さいたま市立病院」を紹介してくださいました。さいたま市立病院では一般的な小児疾患だけでなく、それまでの経験を生かして新生児や白血病の治療も行いました。病院は慶応大学の関連施設でしたが、血液疾患の治療等では杉田先生に何度もアドバイスをいただき臨床血液学会雑誌に症例報告もしました。そしてなにより精神的にもサポートしていただきました。3年余り勤務した後に、4年前に市立病院の診療圏に開業をしました。開業後は、午前中は一般外来で、午後は乳児健診と予防接種を行なった後に、16時から再び一般外来を行っています。急性疾患が多く、短時間に的確な対応が必要とされて勤務医時代とは異なった苦労や難しさもありますが、楽しく仕事をしています。また学校医や小児科医会などを通して地域医療活動にも携わっています。
 私は結果として大学病院と地域の基幹病院の両方を経験し、それぞれの長所・短所を実感したところがあるので、学生・研修医の皆さんに参考にしてもらえればと思い、感じているところを少し書かせてもらいます。
 大学は、縦のつながりが強く少し煩わしい部分もありますが、医者としての教育の面で考えると、厳しくそして優しく指導をしてくれるところだと思います。関連病院をローテーションすることで大学のバックがありながら色々な経験を積むことができます。また、ある程度の経験を積んでから大学にもどってみると、他科にも先輩や同級生がいる風通しの良さは本当に楽しいものでした。
 一方、一般の病院だと、早くから一人の医者として扱ってもらえますが、反面ほったらかしにされますし、自分で積極的に関わらなければ吸収することができません。実力もかなりシビアに評価されます。よほど幅のある病院にいなくては、臨床的に広がりがでにくく、悪くいえば偏った臨床になる可能性があります。病院を移った場合には個人的なつながりは残りますが、大学での同窓の様なつながりは薄くなってしまいます。私は、出身大学と関連施設で経験を重ねてから、最終的に地元の基幹病院に勤務したことで、両方の良さを生かすことができたと思っています。
 研修した時代や状況が今と異なっているとは思いますが、未熟児や悪性腫瘍など開業したら直接には関係ないような疾患で若い頃にした苦労や経験が、今の私の疾患の考え方や親との対応などの臨床上の幅になり色々な状況での対応力になっていると思います。多くの若い先生が、本学の小児科で良い経験を積んで、すばらしい小児科医になることを期待します。

(平成19年9月・入局19年目・記)


 

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